SGD3とSS400(SS41)の違い

SGD3とSS400(SS41)の違い|有限会社アルプス 技術コラムコラム
成分保証の材料

SGD3

JIS G 3123 / 冷間引抜鋼

C・Si・Mn・P・Sの化学成分を規格内に保証した上で製造。素性が明確で、加工現場が扱いやすい。

強度保証の材料

SS400

(旧称:SS41)
JIS G 3101 / 一般構造用圧延鋼材

引張強さ400 MPa以上を満足すれば成分は問わない。入手しやすく安価で、構造部材に広く使われる。

この記事を書いている会社

有限会社アルプス(東京都荒川区)は、1993年に自動車用の特殊工具の設計・開発から始まった機械工具の商社です。金属加工品の製作も手がけています。

この記事の立場
お客様の図面を預かり、協力工場で加工品を製作する側から書いています。
加工
国内(新潟三条が中心)と中国・上海の協力工場が受け持ちます。
窓口
材料や規格のご相談から出荷まで、当社ひとつです。

そもそも、何が「違う」のか

SGD3とSS400の本質的な違いは、規格が「何を保証しているか」にあります。

SS400は結果保証です。引張強さが400 MPa以上であれば、炭素(C)やマンガン(Mn)などの化学成分が何であっても規格を満たします。そのため、製造ロットによって成分がばらつくことがあります。

一方SGD3は成分保証です。C・Si・Mn・P・Sの各元素が規格内に収まるよう管理されたうえで製造されます。素性が明確なため、切削性の予測が立てやすく、加工現場での扱いに安定感があります。

一言でまとめると

SS400は「強ければ成分は何でもよい」、SGD3は「成分を管理したうえで作る」。目的が異なる規格です。

製造工法と精度の違い

材料の規格の違いは、製造工法の違いにも直結します。

SS400は熱間圧延で製造されます。高温で成形するため、寸法精度は素材のまま使うには十分でなく、スケール(酸化被膜)が表面を覆っています。板・形鋼・棒鋼など幅広い形状で流通しており、溶接・切断・ボルト締結といった構造用途に適しています。

SGD3は冷間引抜で製造されます。常温で型に通すことで寸法精度が高まり、表面も綺麗に仕上がります。真円度・直線度に優れ、旋盤にそのまま掴んで削れる棒材として広く流通しています。

比較項目SGD3SS400(SS41)
JIS規格G 3123(冷間引抜鋼材)G 3101(一般構造用圧延鋼材)
保証内容化学成分(C・Si・Mn・P・S)引張強さ 400 MPa以上
製造工法冷間引抜熱間圧延
寸法精度高い(そのまま旋削可)低い(後加工が前提)
表面状態滑らか・光沢ありスケール(酸化被膜)あり
切削性良好・安定ロットにより変動あり
主な形状丸棒・六角棒板・形鋼・丸棒・角棒
価格帯やや高い安価
主な用途シャフト・ピン・ボス・軸類ブラケット・フレーム・構造部材

図面がSS400なのに、なぜSGD3を使うのか

ここが実務で最も混乱しやすいポイントです。

図面の材質欄に「SS400」または「SS41」と指定されているにもかかわらず、加工先がSGD3を使って製作することがあります。これには明確な理由があります。

ボスや軸のような回転・摺動部品を旋盤で切削加工する場合、加工先は通常丸棒の冷間引抜材を素材として使います。SS400は熱間圧延材が主流であり、旋盤での高精度加工には向いていません。設備や段取りの都合から、同じ炭素鋼系で成分管理がされており、かつ切削性に優れたSGD3を選択するケースが多いのです。

設計者・購買担当の方へ

材質変更が問題になるかどうかは、図面の要求精度・強度・用途によります。単純な強度部品であれば代替可能なケースが多いですが、熱処理指定や特定の強度保証が必要な場合は事前の確認をお勧めします。

SS41とSS400は同じ材料

古い図面を見ると、現行の「SS400」ではなく「SS41」という表記が残っていることがあります。これは旧JIS規格の呼称であり、現行のSS400と同一の材料です。JIS規格の改定(1966年→1994年)にともない表記が変わりましたが、材料の実態は変わっていません。

古い図面をそのまま引き継いでいる製品では、今でもSS41表記が残るケースがございます。受発注の際に混乱しないよう、SS41=SS400と覚えておくと便利です。

用途別の使い分けイメージ

SGD3 を選ぶ部品

精度・切削重視

・シャフト・軸類
・ボス・スリーブ
・ピン・プランジャー
・カラー・スペーサー
・旋削による精密部品全般

SS400 を選ぶ部品

強度・コスト重視

・ブラケット・取付板
・フレーム・架台
・溶接構造物
・プレス板金部品
・構造用のボルト穴加工品

まとめ

要点

  • SGD3:成分保証の冷間引抜鋼。寸法精度が高く旋削加工に適する。シャフト・ボス・ピンなど精度部品の素材として最適。
  • SS400:強度保証の一般構造用圧延鋼材。安価で入手しやすく、溶接・構造用途に広く使われる。旧称はSS41(同一材料)。
  • 代替の理由:図面指定がSS400でも、加工先の旋盤設備・段取りの都合からSGD3を使うケースがある。精度部品ではむしろ一般的。

材料の選定や規格の解釈にお困りの際は、お気軽に当社までご相談ください。仕入れから加工先の手配まで、一貫してサポートいたします。